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過重労働対策としての「勤務間インターバル制度」について解説します!

働き方改革の一環として、特に過重労働対策として勤務間インターバル制度が効果的だと言われています。

一度はこの制度について言葉を聞かれたことのある経営者の方もいらっしゃるかと思います。

既に導入した企業もありますが、決して多くはありません。

そこで、今回はこの勤務間インターバル制度について、どのようなものか、そして導入によるメリットなどに解説していきます。

勤務間インターバル制度とは

まずはこの勤務間インターバル制度についてですが、終業時刻から次の始業時刻の間に、一定時間以上の休息時間(インターバル時間)を確保する仕組みをいいます。

一定の休息時間を確保することで、労働者が十分な生活時間や睡眠時間を確保でき、ワーク・ライフ・バランスを保ちながら働き続けることができるようになると考えられています。

勤務間インターバル制度は、働き方の見直しのための他の取組みとあわせて実施することで一層効果が上がると期待されています。

勤務間インターバル制度の導入企業

厚生労働省が公表している「令和4年就労条件総合調査」をみると、勤務間インターバル制度を導入している企業割合は、5.8%(令和3年調査4.6%)となっています。

企業規模別に導入している割合をみると、1,000人以上が14.6%、300~999人が6.7%、100~299人が5.3%、30~99人が5.7%となっています。

企業規模が大きくなると、導入している割合も相対的に高くなっています。

現状では、勤務間インターバル制度の導入については、努力義務とされていますが、過労死等の防止のための対策に関する大綱の中で、国は以下の数値目標を定めています。

・2025年までに、勤務間インターバル制度を知らなかった企業割合を5%未満とする。
 
・2025年までに、勤務間インターバル制度を導入している企業割合を15%以上とする。

政府としても、今後、さらに周知活動を活発化することで、導入する企業も増えてくるものと思われます。

勤務間インターバル制度導入のメリット

この勤務間インターバル制度は、従業員の生活時間や睡眠時間を確保することを狙いとしています。

睡眠時間の重要性を明らかにした研究では、毎日4時間の睡眠時間が6日間続くと、一晩徹夜したのと同じくらいの遅延反応が生じた等という実験結果も出ているようです。

毎日少しずつでも睡眠不足が続くと、疲労が慢性化し、判断能力や反応が鈍くなり、仕事にも支障をきたすという話になります。

しっかりと睡眠時間をとることは人間の生活に不可欠なことです。

従業員に健康で働いてもらうことで、従業員の定着、生産性の向上、そして会社の業績アップにもつながるものと思います。

勤務間インターバルの時間数について

何時間確保しなければならないという決まりはありませんが、導入事例を見ると、9時間から11時間のインターバル時間を設定することが多くなっているようです。

実際には、勤務状況をみて検討することになりますが、令和4年調査でも、1企業平均間隔時間として「10:22」となっています。

ちなみにEU加盟国では最低でも連続11時間を確保することが必要とされています。

勤務間インターバル制度の実例

実例として勤務間インターバルの時間数を11時間とした場合、始業時刻8時、終業時刻17時という例で、23時に業務が終了したとき、次の日の始業は10時になります。

この場合、8時から10時はどのような取扱いになるのかというと、次の日の勤務については、始業時刻8時から10時までは勤務したものとみなすといった取扱いや、始業時刻を繰り下げ、始業時刻を10時、終業時刻を19時として勤務をするという取扱いが考えられます。

企業によっては、繁忙期になり、どうしても終業時刻が遅くなってしますケースもあるかと思います。

そこで翌日の始業をずらすということも選択肢にあれば、従業員にとっても働きやすい環境といえるのではないでしょうか。

助成金の対象

働き方改革関連の助成金の中に、この「勤務間インターバル導入コース」があります。

従業員の長時間労働や過重労働が気になっているという事業主の方には、この制度を導入することで得られるメリットの一つに助成金の受給も可能ということです。

興味があるという方は一度社労士にご相談してみてください。