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「特殊健康診断」および「歯科医師による健康診断」について解説します!

会社は、常時使用する労働者に対し、一般健康診断として雇入れ時および1年以内に1回の定期健康診断や特定業務従事者に対する健康診断を行う義務があります。

この一般健康診断を従業員に受けさせているかと思いますが、その他にも、有害業務等に従事する労働者に対して実施する特殊健康診断や歯科医師による健康診断等があります。

人事・総務担当者は、対象者を分類したうえで必要な健康診断の受診手続きを実施する必要があるため、この度の記事では、どういった業務に従事する社員が、特殊健康診断や歯科医師による健康診断を受けなければならないのかについて解説いたします。

特定業務従事者の健康診断

特定業務従事者の健康診断は、労働安全衛生規則第45条に掲げる業務に常時従事する労働者に対して、実施することが義務付けられています。

具体的な業務として、例えば以下のような業務があります。

・多量の高熱物体を取扱う業務や著しく暑熱な場所における業務

・多量の低温物体を取扱う業務及び著しく寒冷な場所における業務

・ラジウム放射線、エツクス線その他の有害放射線にさらされる業務

・ボイラー製造等強烈な騒音を発する場所における業務

・異常気圧化における業務

・坑内における業務

・深夜業を含む業務

・水銀、砒素、黄りん、弗化水素酸、塩酸、硝酸、硫酸、青酸、か性アルカリ、石炭酸その他これらに準ずる有害物を取扱う業務

・病原体によって汚染のおそれが著しい業務 等

これらに該当する業務へ労働者を配置替えする際、6ヶ月以内ごとに1回これらの業務に常時従事する労働者に対して実施が必要です。

特殊健康診断

特殊健康診断は、以下の8つの有害な業務に常時従事する労働者等に対して、一般健康診断とは異なる項目に係る健康診断の実施が義務付けられています。

・有機溶剤業務

・鉛業務

・四アルキル鉛業務

・特定化学物質業務

・高気圧業務

・放射線業務

・除染等業務

・石綿業務

原則として、雇入れ時、配置替えの際と6ヶ月以内ごとに1回の実施が必要です。

また、上記のうち、一定の特定化学物質業務や石綿業務などについては、それらの業務に従事しなくなった場合でも特殊健康診断の実施が必要です。

歯科医師による健康診断

歯科医師による健康診断は、有害業務(塩酸、硝酸、硫酸、亜硫酸、フッ化水素、黄りんその他歯またはその支持組織に有害な物のガス、蒸気または粉じんを発散する場所における業務)に常時従事する労働者に対して、雇入れ時、配置替えの際と6ヶ月以内ごとに1回の実施が必要です。

また、2022年10月より、この歯科医師による健康診断を実施した場合、事業場規模にかかわらず、すべての事業場に歯科健康診断結果報告が義務付けられました。

併せてこの報告書様式が新たに定められているため、報告する際には新様式の使用が必要となります。

まとめ

特殊健康診断は、『労働安全衛生法』で定められた有害な業務に従事する従業員に対して受診させることが義務付けられている健康診断です。

特定業務に新たに従事することとなった場合や配置換えといった際に対象となる従業員に対して健康診断の実施漏れがないようにしていただきたいところです。

担当者のなかには、「特殊健康診断の対象者は誰だろうか」「実施は義務なのだろうか」「一般健康診断とどう違うのかよく分からない」と疑問を持つ方もいるのではないでしょうか。

特に従業員数の多い会社では、どう対応していいのかわからないケースも出てくるかもしれません。

そんな場合は一度、社労士に相談してみてください。きっとお役に立てるものと思います。