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退職後も引き続き傷病手当金を受給する際のポイント!

今年最後の記事となりました。

先日も知り合いの経営者の方からお問い合わせいただいたのですが、健康保険の傷病手当金を受給している従業員がいるとのことで、この先、職場復帰の目途が立ちそうにはないということでした。

さらには退職となった場合はどうなるのか、いわば無収入となってしまうこともあり、心配されている様子でした。

そこでこの傷病手当金ですが、一定の要件を満たすことで、退職後も引き続き受給することが可能です。

この度のブログでは、退職後に引き続き傷病手当金を受給する際のポイントを解説します。

傷病手当金を受給するための要件

傷病手当金は、被保険者である従業員が病気やけがによる療養のために会社を休み、給与を受けられないときに、その所得の補てんとして受けることできるものです。

この給付を受けるためには以下の4つの要件をすべてを満たす必要があります。

・業務外の事由による病気やケガの療養のための休業であること
・仕事に就くことができないこと
・連続する3日間(待期期間)を含み4日以上仕事に就けなかったこと
・休業した期間について給与の支払いがないこと

継続給付の要件

上記4つの受給要件を満たした上で、退職後も引き続き傷病手当金を受給するためには、更に以下の2つの要件を満たす必要があります。

・健康保険の資格喪失日の前日(退職日等)までに被保険者期間が継続して1年以上あること
・健康保険の資格喪失日の前日(退職日等)に傷病手当金の支給を受けているか、または、受けられる状態にあること
 
上記について、退職日に引継ぎ等で出勤した場合は、医師が労務不能と証明していたとしても、仕事ができる状態になったと判断され、退職後に傷病手当金を受給できなくなりますので注意が必要です。

傷病手当金を受給しないまま退職した場合の取扱い

傷病手当金を受給しないまま、年次有給休暇を取得し、退職となるようなケースがあります。

傷病手当金の受給は、連続する3日間の待期期間と4日目以降に傷病手当金を受給できる状態であれば、傷病手当金を受給していなかったとしても退職後に受給することが可能です。

年次有給休暇を取得して退職したときは、給与が支払われていることになるため一番上に挙げた4つの要件について該当せず、受給できる状態であるものの、不支給という判断が行われます。

そして、給与が支払われなくなった退職後から支給が開始されます。

傷病手当金の受給期間

2021年1月より、傷病手当金の受給期間は、同一傷病について受給を開始した日から、支給期間を通算して1年6ヶ月とされています。

そのため、退職後は、残りの期間について傷病手当金を受給することができます。

最後に

私傷病により退職する場合には、この傷病手当金の継続給付は貴重な収入と言えるでしょう。

対象となる従業員には、要件を確認の上、通常の退職手続きに加えて、この傷病手当金の請求の仕方について説明をしておくべきでしょうか。

従業員にとっては、会社に勤務中は会社が代わりに手続きをしてくれていたかも知れませんが、退職後となれば自分で手続きをする必要があります。

こういった手続きの仕方など、会社に代わって社労士が行うことも可能です。

身近にいる社労士にでもご相談してみてください。きっとお役に立てるものと思います。