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2023年(令和5年)10月より最低賃金が上がります。事業主の皆様、ご注意ください!

また今年も最低賃金が上がっております。

10月1日より、最低賃金が変わり、事業主の方たちにとって、賃金額の上昇は、会社の経営にも直結することも多々あるため、注意していただきたい点が多々あります。

この最低賃金はパートやアルバイト従業員を含め全ての従業員に適用されます。

そこでまた今年も、この最低賃金について、解説して行くことといたします。

最低賃金額とは

まず最低賃金とは何かということですが、これは1時間あたりの金額で定められます。(最低賃金法第3条)

「1時間○○円」のように定められ、都道府県ごとにその額が異なります。

これを地域別最低賃金といいます。

私が暮らす愛知県ではこの10月1日から、1,027円となり昨年よりも41円アップしています。

既に関東地方では1,000円を超える地域がありましたが、この愛知県でも初めて1,000円を超えることとなりました。

そして、注意していただきたい点として、どの都道府県の最低賃金が適用されるかは、労働者の住んでいる場所ではなく、事業場の所在地によって決まるということです。

例えば、A県に住む労働者がB県の事業場で働いている場合、B県の最低賃金が適用されことになります。

なお、地域別最低賃金は、産業や職種にかかわりなく、また正社員、パートタイマー、アルバイト、臨時、嘱託などの雇用形態や呼称の如何を問わず、すべての労働者に適用されます。

もう一つ、最低賃金は地域別最低賃金のほか、関係労使の任意の申出により、同一の都道府県内の特定の産業について定めることもできます。

特定の産業について定める最低賃金ということで、これを特定最低賃金といいます。

この特定最低賃金の額は、当該特定最低賃金の適用を受ける使用者の事業場の所在地を含む地域について決定された地域別最低賃金の額を上回るもでなければならないとされています。(最低賃金法第16条)

最低賃金額が変更される時期

最低賃金は、毎年10月頃に変更されます。

毎年6月ごろになりますと、厚生労働省の中央最低賃金審議会が、その年度の最低賃金の引き上げを巡り、議論を始め、審議会を構成する労使の代表らは、物価高騰を反映させて調整し、7月末に引き上げの目安額をまとめます。

その目安額を踏まえ、都道府県ごとの地方審議会が話し合い、8月ごろ実際の引き上げ額を決めることとなっています。

そして、10月以降に順次適用されていきます。

地域別最低賃金については、変更がある年がほとんどですが、特定最低賃金については、変更ない年もあります。

注意しないといけないのは、各都道府県によって、変更の効力発生時期が違うということです。

例えば、A県の地域別最低賃金は10月1日から、B 県の地域別最低賃金は10月6日から変更する、などです。

最低賃金額の効力

(1)最低賃金を下回る賃金

最低賃金額に達しない賃金を定めている労働契約は、その賃金の定めについては無効となります。(最低賃金法第4条)

ただし、労働契約が全体が無効となるわけではなく、無効となった賃金の定めについては、最低賃金と同額の定めをしたものとして扱われます。

これにより、以前から違反状態が続いている会社では、最低賃金額との差額を遡って支給する必要がありますので注意してください。

(2)最低賃金の対象から除く賃金

最低賃金の対象となる賃金は、毎月支払われる基本的な賃金であり、下記の賃金は最低賃金の計算の基礎からは除外されます。

①臨時に支払われる賃金
②1カ月を超える期間ごとに支払われる賃金
③割増賃金
④精皆勤手当
⑤通勤手当
⑥家族手当

これらの賃金の額を除いた額が最低賃金以上になるようにしてください。

(3)最低賃金を下回る場合の罰則

最低賃金を下回る賃金しか支払っていない使用者には、下記の罰金が科せられますのでこちらも注意していただきたいところです。

「地域別最低賃金」の不払いは、50万円以下の罰金が科せられます。(最低賃金法第40条)

「特定最低賃金」の不払いについては、労働基準法第24条に規定する全額払いに違反し、30万円以下の罰金が科せられます。(労働基準法第120条)

最後に

昨年もこのブログに書きましたが、この最低賃金は上がることはあっても、下がることはないと言えます。

毎年、30円から40円程度の時給額が上がることが見込まれることを踏まえ、夏ごろには時給額が上昇することで人件費が経営にどれほどの影響を与えるのかを、シミュレーションしていただきたいところです。

そしてこの上昇した賃金額が、従業員の労働時間に与える影響も非常に大きくなり、企業にとっては人手不足に陥るケースも出てきています。

特にパートやアルバイト社員を多く抱える事業主の方には死活問題とも言えるでしょうか。

もし従業員の賃金額や労働時間で問題を抱えている事業主の方は、お近くの社労士にでも相談してみてください。

きっとお役に立てるものと思います。