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令和5年度、算定基礎届についての注意点について解説します!

例年、6月中旬頃になりますと、社会保険の算定基礎届の用紙が会社に届くかと思います。

特に昨年10月の社会保険の適用拡大で特定適用事業所に該当したため、これまで加入していなかった週20時間以上で働くパートの方たちも社会保険に加入することになりました。

その影響で、算定基礎届を作成する被保険者数が多くなっという会社もあります。

そこで例年とは違った対応をしなければならない会社の担当の方もいるかと思われ、この度は算定基礎届について改めて解説いたします。

算定基礎届(定時決定)とは

まずは算定基礎届とは何かといえば、被保険者が実際に受ける報酬と、すでに決定されている標準報酬月額がかけはなれないように、毎年1回、原則として7月1日現在の被保険者全員について、4月・5月・6月に受けた報酬の届出を行い、その年の9月以降の標準報酬月額を決定します。

この決定を「定時決定」といい、定時決定を行うために提出する届出を「算定基礎届」といいます。

算定基礎届の対象となる人・ならない人

算定基礎届は、同年7月1日現在、被保険者である人全員が対象になります。

対象となる人

・5月31日以前に入社(資格取得)した被保険者で、7月1日現在、在職中の人
・7月1日以降に退職(資格喪失日:7月2日以降)する人
・欠勤中または休職中(育児休業・介護休業を含む)の人
・健康保険法第118条第1項に該当する人(刑務所に収容された人など)

対象とならない人

・6月1日以降に入社(資格取得)した被保険者
・6月30日以前に退職(資格喪失日:7月1日以前)した人
・7月に月額変更届・育児休業等終了時変更届を提出する人
・8月に月額変更届・育児休業等終了時変更届を提出する予定の人
・9月に月額変更届・育児休業等終了時変更届を提出する予定の人

算定基礎届の提出期間と提出先

○提出時期と適用期間
・原則として7月1日から7月10日までです。
決められた標準報酬月額は、その年の9月~翌年の8月までの保険料や保険給付の額の基礎となります。

○提出先
加入している健康保険制度によって、提出先が異なります。
・全国健康保険協会管掌健康保険(協会けんぽ)の場合 → 年金事務所へ
・組合管掌健康保険(健康保険組合)の場合 → 年金事務所と健康保険組合へ
  ※厚生年金基金に加入している場合は、厚生年金基金にも提出します。

報酬月額の計算で注意すること

1.支払基礎日数 17日未満の月は除外します。
・4~6月の間に支払基礎日数が17日以上の月がない場合は、特別な算定方法(保険者算定)によります。

2.支払基礎日数が17日以上の月の総報酬額を計算します。
・「報酬」とされないものを除外します。
・ 年3回以下支給される賞与がある場合、それも除外します。
・ 現物で支給したものは、現金に換算します。
・ 給与のさかのぼり支給や遅配等がある場合、その分を考慮します。

3.報酬の平均額を出します
・2で計算した報酬総額を、支払基礎日数が17日以上の月の数で割ります。

※保険者算定を行う場合
・例外として、通常の方法では報酬月額の「算定が困難なとき」や、算定結果が「著しく不当になる場合」は、保険者が特別な算定方法(修正平均)によって、報酬月額を算定します。

特定適用事業所について

上にも上げましたが、特定適用事業所につきましては、1年のうち6月間以上、適用事業所の厚生年金保険の被保険者(短時間労働者は含まない、共済組合員を含む)の総数が101人以上となることが見込まれる企業等のことです。

この特定適用事業所に該当する適用事業所の企業規模は段階的に拡大され、令和6年10月からはさらに厚生年金保険の被保険者数が51人以上の企業等で働く短時間労働者の社会保険加入が義務化されます。

最後に

毎年のことですが、会社の担当の方たちの頭を悩ませるのがこの算定基礎届ではないでしょうか。

特に昨年の社会保険の適用拡大に伴い、今までよりも多くの方が対象となるとなれば、担当の方はより気を使うこととなるかと思います。

私自身、お付き合いをさせていただいている会社の方で時に社会保険に加入すべきかどうか迷うことがしばしあります。

もしどうしたらよいのかわからないというようなケースが社内で多々あるようでしたら、身近にいる社労士に相談してみてください。

きっとお役に立てるものと思います。